2022年 11月11日 00:00

エッセイ

綺麗に数字が並ぶ瞬間に、何を祈るか考えている。

「全ての命が、心穏やかに過ごせますように。」
は、叶いそうもない。

今日も肉食動物は狩りをするし、草食動物は草を食べる。
お腹が空いたら心は穏やかじゃなくなる。
食べられる方は、それどころじゃない。
「せめて人間くらいは」って思うけど、それも難しいかな。

食べるために、生きるために、身体が痛くてもみんな、頑張ってる。
食べさせるために、育てるために、心が痛くてもみんな、頑張ってる。

仲間に迷惑をかけられないから、
優しい声には「大丈夫ですよ。」って笑顔で応えたいから、
無理して、頑張ってる。

無理は徹夜と同じ。
今夜はできても、明日は無理。
続かない。続けちゃダメなんだ。

壊れる前に休みましょう。
たまには、自分に優しくしてあげましょう。休ませてあげましょう。

入院しても、面会禁止。
心の支えなのに誰も来てくれない。家族にも会えない、

今日も、ナースステーション経由で荷物だけの受け渡し。
「ちょっとだけ。顔見るだけでも。」
看護師さんだって本当は、会わせてあげたい。
本当はみんな、優しい。

窓から見える月が綺麗だから、会えなくても一緒に見れるから、
「寂しくないよ。大丈夫。」
なんて、まだ無理してる。

きっと良くなって、家に帰れるよ。
やりたかったこともできるようになる。夢だって叶えられる。
そんなに頑張ってるんだから。

ああ、もう日付が変わる。
何て祈ればいいかまだ、思いつかない。

皆さんが今よりちょっとだけ、幸せになりますように。

(2022年11月。58歳)

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